平成15年度活動実績

平成15年度における会の主な活動、新聞等に掲載された関連情報

平成16年3月19日(金)、脳細胞再生へつながるRNA発見

※すぐに人間の臨床に応用できる段階ではありませんが、将来的に研究が進み、画期的な治療法が確立されるかもしれません。

脳の神経細胞が作られるのを制御する新しいタイプのRNA(リボ核酸)を、産業技術総合研究所・ジーンファンクション研究センター(茨城県つくば市)が見つけた。このRNAを使って、新しい神経細胞を作ることができれば、病気や事故で損傷した脳の再生医療に役立つ可能性がある。19日発行の米科学誌「セル」に発表した。

同センターでは米ソーク研究所と共同で、マウスを使い、神経細胞のもとになる肝細胞で働く様々なRNAの機能を調べた。

その結果、約20個の塩基で構成される小さなRNAが幹細胞が神経細胞に成育する働きを抑えるたんぱく質を変化させ、新しい神経細胞が作られるのを制御していることを発見した。同じようなRNAは人間でもみつかった。

RNAは、生体内で主にたんぱく質を合成する役割を果たしており、塩基が数百個の大きさのものが多い。しかし最近、塩基数の小さなRNAがほかのRNAに作用し、たんぱく質の合成を阻害するなど、生命活動を支える未知の働きが見つかり、注目されていた。

今回のRNAは、遺伝子に直接働きかけて細胞を制御するもので、研究グループは全く新しいタイプのRNAだとしている。多比良和誠センター長は「予想もしなかった大発見。産総研で開発した遺伝子探索法が役立った」と話している。(NHK、読売新聞等で報道)

平成16年2月24日(火)、国土交通省懇談会

2月27日(金)
金融庁審議会に北原代表が委員として出席
「第13回自賠責保険のあり方に係わる懇談会」

平成16年2月24日、火曜日、pm1:30から、国土交通省会議室にて、「第13回自賠責保険のあり方に係わる懇談会」が開催され、北原代表が委員として参加致しました。また、嶋宮・細見・三輪各理事も応援及び情報収集のため傍聴参加致しました。

【議事の模様】平成14年4月の自動車損害賠償保障法改正にともない、旧自動車事故対策センターに代わり、政府再保険廃止後の被害者保護の機能を担うものとして、独立行政法人自動車事故対策機構が設立された。この機構発足後初めての「自賠責保険のあり方に係わる懇談会」(前回からは一年振り)は、委員に加え、多数の傍聴があり、活発な意見交換が行われた。

座長:中央省庁顧問・経済評論家の西崎氏
委員:交通事故被害者側からは当会の北原代表や遺族の会の井手会長
各分野の専門家や大学教授などの学識経験者
東京海上や日本興亜など損保会社
国土交通省事務局の方々など、総勢18名

議事の内容について、国土交通省・増井保障課長より以下の報告があった。

  1. 懇談会メンバーの変更
  2. 自動車損害賠償保障法改正法の実施状況
  3. 平成16年自賠特会予算案
  4. 独立行政法人自動車事故対策機構の中期目標・中期計画
  5. 自賠責保険における神経系統又は精神の障害に関する認定システム
  6. その他
北原代表は、意見陳述の中で、「重度高次脳機能障害者に対する独立行政法人自動車事故対策機構による介護料支給制度是正のお願い」を要請した。座長をはじめ多くの参加委員の賛同が得られ、早速に、この要望について国土交通省は検討に入ることとなった。

ところで、この「自賠責保険のあり方に係わる懇談会」には北原代表が委員として選ばれているが、他に自賠責保険の運用に係わるものとして「評議員会」というものがあるが、これには、各専門家及び学識経験者の他、遺族の会関係者は選ばれているものの、後遺障害者の会関係者は選ばれていない。

後遺障害者の会代表も評議員に加えてもらえるよう、懇談会終了後、国土交通省・増井保障課長に陳情した。課長からは前向きのご返事があり、今後も益々、後遺障害者及び家族の声が届く場が増えることを多いに期待している。

「第119回自動車損害賠償責任保険審議会」
平成16年2月27日(金)、pm2:00から、霞ヶ関、金融庁にて、「第119回自動車損害賠償責任保険審議会」が開催され、例年のように北原代表も特別委員として出席致しました。理事の上井・小沢・佐藤・細見の4名も傍聴に参加致しましたが、その他にも多数の傍聴があり、審議会に対する注目度の高さが伺われました。

【議事の模様】

委員・特別委員(約20名)
金融庁事務局及び国土交通省事務局
自賠責・共済紛争処理機構
交通事故紛争処理センター
日本損害保険協会
日本医師会
各分野の専門家・学識経験者や、交通事故被害者団体(遺族の会・井手会長、後遺障害者連合会及び当会・北原代表)

次のような報告がなされた。

  1. 料率検証結果について(池田 金融庁保険課長)
  2. 紛争処理機関の運営状況について
    1. 自賠責保険・共済紛争処理機構(小畠 専務)
    2. 交通事故紛争処理センター(小柳 事務局長)
  3. 自賠責保険診療報酬基準案について(松澤 日本損害保険協会会長)
  4. 平成16年度自賠責特別会計の運用益の使途について(増井 国土交通省保障課長)
  5. 平成16年度保険会社の運用益の使途について(松澤 日本損害保険協会会長)
以上報告説明に大部分の時間がかかり、少ない審議時間の中を、当会の北原代表は、国土交通省に、
4、「自賠責特別会計の運用益の使途」の中での、介護料支給費の内容について、もっと詳細な情報開示を要求した。

また、日本損害保険協会には、5、「保険会社の運用益の使途」の中で、自動車事故被害者救済対策が優先課題であるはずが、、病院関係講習会費用助成等の美名のもとに多額の運用益を使い、肝心の交通事故被害者救済をなおざりにしていることへの是正の提言、及び、団体への費用助成の内容等、明らかにされていない部分の詳細な情報開示を要求した。

審議会後半、出席委員達より盛んな質疑、意見、要望等がなされたが、報告説明に時間がかかり過ぎ、十分な審議の時間が足りず、未消化な部分が多かった点は残念であった。

平成15年12月14日(日)、学習会と家族交流会が開かれました。

平成15年12月14日(日)、10:30~16:30まで、東京都府中市片町文化センターにおいて、NPO法人脳外傷友の会「ナナ」の協賛で、学習会と家族交流会が開催されました。

午前中は、脳外傷友の会「ナナ」の理事長を務めていらっしゃる大塚由美子さんよりご挨拶をいただき、その後、北原代表による交通事故解決に関する学習会が行われ、交通事故解決のために重要なポイントを、実体験に基づき解説したり、最新の判例紹介、警察調書の早期開示などの問題点につき、1時間半に渡って講演を行いました。

昼食を挟み、午後は、特別会員の柳原三佳さんの最新トピックス報告を皮切りに、事件の経過報告や、新規会員の事件報告などを行い、自分の事件を語り、他の会員の話を聞くことにより、励ましあい、勇気付けられた3時間でした。

午後は別室で、弁護士による無料法律相談会も行われました。今回も重度後遺障害のご家族の介護に追われながらも時間を作って、多数の皆様に御参加いただいき、有意義な時間を共有できたと思います。恒例となりました無料法律相談会にも、多数の弁護士の方々にご参加いただくことができました。

被害者の言い分が全く警察調書に反映されず一方的に過失を問われて、重度の障害を負いながら、自賠責の補償すら受けられない事件や、事故の加害者が、あまりに悪質なため、仮釈放をしないでほしいと嘆願をしたところ、出所後に脅迫を受け、警察の警護を受けている状況の方からの報告など、胸の痛む話が次々と語られ、被害者が団結して、これ以上悲惨な事故が起きないよう、また不幸にして事故に遭ってしまった場合も、被害の回復が速やかに行われ、安心して生活ができるようにしていかなかればならないと強く感じました。

平成15年6月28日(土)、府中福祉文化会館にて、第2回の総会が開催されました。

「交通事故後遺障害者家族の会」の第2回総会には、正会員が49家族、63名、特別会員のジャーナリスト1名、会員以外では、弁護士10名、ジャーナリスト1名の方々にご参加いただきました。午前中は北原代表の挨拶に始まり、2002年度の事業・会計報告、2003年度の事業計画、予算の発表、理事の紹介等がありました。

午後は、午前中の固い内容とは変わって、会員同士でのざっくばらんな歓談と、新規入会された会員や、遠方から参加された会員の自己紹介がありました。

これらと並行して、弁護士による無料法律相談会も行われ、23家族が相談をいたしました。弁護士の先生方からは、口々に「この会で相談を聞くと、被害者の悲惨な状況が分かり、勉強になることが多い。弁護士として、できる限りの支援をしたいと思う」との感想をいただき、大変心強く感じました。

特別会員のジャーナリストとして参加して下さった柳原三佳さんからは、「今、被害者に対する警察調書の早期開示を求めて活動している、また、もっとマスメディアで交通事故被害の問題を取り上げてほしいと訴えている」などのお話も聞け、被害者とは、また少し違った観点からのお話を聞き、そのような視点も大切だと感じました。

ジャーナリストとしては、もうお一人、横浜大輔さんがご参加下さり、総会の模様を熱心に取材されていました。

総会終了後も、さらに多くの皆さんと交流を深めたいとの希望者が多数あり、場所を近くのお好み焼き屋に移して、遅くまで語り合いました。

今回都合によってご参加いただけなかった会員の皆様も、総会や家族交流会にご参加いただき、実際に他の会員の皆様とお会いになると、新たなパワーをもらえることと思います。 今回も、北は北海道、南は鹿児島まで、日本全国から参加していただきましたが、遠方の方ほど、「会に参加すると元気が出る」と仰っていたように思います。

平成15年10月3日(金)、「犯罪被害者支援の日」制定記念・中央大会に参加しました。

日時:平成15年10月3日(金)
会場:日本大学カザルスホール
主催:全国被害者支援ネットワーク
共催:日本財団
協賛;財団法人ひまわり基金
協力:(社団)被害者支援都民センター、(株)ベル、(株)NHKソフトウエア
後援:警察庁、法務省、(財団)社会安全研究財団、(財団)犯罪被害者救援基金
共同参画:全国犯罪被害者の会(あすの会)、地下鉄サリン事件被害者の会、小さな家、NPO法人犯罪被害者支援の会appui、NPO法人交通事故後遺障害者家族の会「Koisyo」、少年犯罪被害当事者の会、北海道交通事故被害者の会、あひる一会、風通信、犯罪被害者自助グループ「緒あしす」、(社団)被害者支援都民センター、自助グループ、「生命のメッセージ展」実行委員会、犯罪被害者きょうだいの会、Japan Victim Assistance Ring、(以上 14団体順不同)

不法行為による交通事故の被害者は犯罪被害者であるという視点や、「NPO法人として認可され確固たる自助グループ」であるとの信用から当会にも参加要請がありまして、理事会はそれを受け、中央大会が大成功するよう参加協力の準備を進めてまいりました。

当日は、午後3時開会でしたが、12時過ぎから会場には代表・理事一同が集まり、会の紹介・展示ブース設営や行進準備に励みました。

新聞・テレビなど各社多数のマスコミが取材に来るなか、午後3時に開会。

会長・来賓挨拶のあと、大きなスクリーンでの印象深い画像による全国犯罪被害者支援ネットワークの沿革や参加の各自助グループの紹介。

参加グループのうち、七団体の、各々が切々と訴える「声」は、実際、体験し苦しんだ経緯からの訴えですから、涙を誘わずにはおられない感動の場面が続き、加害者ばかりを擁護し、苦しむ被害者を置き去りにしてきた社会にむけて、また警察や検察・裁判・法律など行政・司法・立法にわたり社会全体に理解を求めるために被害者達が立ち上がり、強く変革を訴えるものでした。

会場ロビーには、参画14団体の各会の紹介・展示ブースが設置され、多くの出席者やマスコミで賑わっておりました。

式次第は次々と進み、コンサート・献花で大会は無事終了後、さらに街行く人々に「犯罪被害者支援」理解を訴えるため、お茶の水周辺を、のぼりやプラカードを掲げ、参加の皆様達と共に行進致しました。

この行進の時、私達の会がマスコミの注目を浴びたらしく、10月4日付、日本経済新聞朝刊に私達の会が大きく写真報道されておりました。

この大会では、「被害者の痛みに見合う加害者の刑事処罰・被害者が参加出来ない刑事裁判という現在の法律の改善・加害者言いなりの調書作成の不当性・交通事故調書の早期開示・・・」等々が必要であることが訴えられ、広く社会に理解を求められており、常日頃北原代表が言っておられること、そして、私達自身もいたく感じておりますことそのものでしたので、参画の自助グループ皆様方が共通の感覚、理念であることに深く感銘致しました。

この日のために、遠くは北海道、兵庫県、愛知県などからも多数の当会会員さん達が、馳せ参じて下さいまして、大会・行進・親睦会など、犯罪被害支援に向けての一連の大会行事にて精力的に協力して下さいまして、有り難い限りでした。

私達の会がこの全国的行事に参画させて頂くことにより、これまで社会の認識の薄かった、重度後遺障害者の苦難や山積する問題に注目して貰えたのではないかと思います。

「犯罪被害者支援の日」について
犯罪被害者や遺族の実情を知ってもらい支援の輪を広げようと、全国30の民間被害者援助組織でつくる「全国被害者支援ネットワーク」が、10月3日を「犯罪被害者支援の日」と定めた。

10月3日は12年前、国内初の犯罪被害者の援助組織ができるきっかけとなった日。以後、徐々に犯罪被害者への支援の必要性が認識され始め、現在、民間援助組織は全国30都道府県に31組織を数えるまでになった。

平成15年11月22日(土)、「犯罪被害者支援フォーラム2003」に参加しました。

フォーラムテーマ:被害者支援の未来に向けて
日時:平成15年11月22日(土)
会場:東京霞ヶ関弁護士会館大講堂
後援:日本弁護士連合会、社団法人日本損害保険協会、財団法人犯罪被害救援基金、財団法人社会安全研究財団、日本被害者学会、日本臨床心理士会、警察庁、法務省

(プログラム)【午前】
パネルディスカッション「様々な立場からの被害者支援」
パネラー:飛鳥井望(東京精神保健総合研究所)
佐々木静子(まつしま産婦人科小児科病院院長)
金子進之介(大分被害者支援センター理事長・臨床心理士)
萬年浩雄(弁護士)
櫻井まり子(東京都葛飾区保健所保健師)
様々な分野の方々がパネリストとして集まり、犯罪被害者の抱える問題への取り組みや、今後の展望などについて、それぞれの視点からお話いただきました。
共通して意識していることは、今の日本の現状は、犯罪被害者のケアに十分とはいえない、「異分野ネットワーク」を築き、それぞれの専門分野で全力を尽くしつつ、連携して被害者を見守り、必要な手助けをしていくことが必要であるということでした(例えば、保険師が地域の被害者をケアしてる時に、法律的な問題に直面した時、すぐに弁護士に橋渡しできるというようなこと)。

【午後】
分科会Ⅰ:被害者の視点から見た被害者支援のあり方を考える
①交通被害者への支援(長期ケアを必要とする被害者問題を中心に)
午後は、時間と場所を区切って4つの分科会が開かれましたが、そのうち、上記の分科会に参加しました。
コーディネーター:山上皓、富田信穂
報告者:北原浩一(当会代表、全国交通事故後遺障害者団体連合会代表)
井手渉(全国交通事故遺族の会会長)
前田敏章(北海道交通事故被害者の会代表)
小沼清敬((財)日弁連交通事故相談センター常務理事・事務局長)
中村俊規(東京医科歯科大学難治疾患研究所被害行動学研究部門教授)

これまでの実績を買われ、北原代表が報告者に選ばれており、交通事故によって、重度後遺障害者となった被害者および、家族の現状、抱える問題点について、熱弁をふるいました。

皆さんがそれぞれの立場から、交通事故被害の問題に光をあて、興味深いお話をされていましたが、高次脳機能障害や遷延性意識障害についても活発な議論がされておりました。

日弁連交通事故相談センターでは、高次脳機能障害への理解を深めるために、全国各地の窓口に指導を行っているそうです。

また、「高次脳機能障害ガイドブック」を作成中であるとも言っていました。その動きが少しずつ成果を挙げてきている事例も発表されました。

被害者が亡くなったり、意識障害のため証言ができない場合、加害者の証言のみで不当な捜査が行われることが、ままあり、情報の早期開示、正当な初動捜査の必要性も強く訴えられていました。

今回、分科会のテーマとし、独立して「交通事故被害」が取り上げられたことは、大きな第一歩だと思います。先だっての中央大会での訴えの成果だと思います。一歩一歩の積み重ねが大切であり、今後もさらなる社会の理解を得るための活動が必要であると感じました。そして、これも今後の「一歩一歩」だと思いますが、このようなフォーラムが、東京だけでなく、全国各地で開催されればとも思いました。